大阪府社会保険労務士会の水流です。

 大阪府社会保険労務士会 デジタル化推進部会では、デジタル化推進に関する知見を広めるためにHRエキスポに参加してきました(私は、11月17日(水)の朝イチから昼過ぎまで見学しました)。

 デジタル化推進に関係することですので、この場をお借りして個人的に気になったポイントをみなさまと共有したいと思います。

HRエキスポとは

HRエキスポとは、「関西最大! 総務・人事・経理・法務・経営が来場する展示会」というコンセプトの展示会のことです。
(関西HRエキスポのホームページはこちら

「総務・人事・経理・法務・経営」は、社労士業務と深い関わりがあります。

 このページの一番上にあるアイキャッチ写真は受付場所の様子です。写真だけを見ると、結構密集しているように見えますが、参加者のみなさんは複数の受付窓口に整然と並んで順番に受付をしていました。また、全員のマスク着用が徹底されていました(正しくマスクが着用されていないと、入場できませんでした)。

コロナ禍での感染対策について

「社労士のためのデジタル化推進フェア」を企画する運営担当として、まず気になるのが「コロナ対策」です。

 会場となるインテック大阪の対策告知が、会場の至るところに掲示されていました。また、HRエキスポの会場入り口では、かならず「検温」「手指の消毒」「正しいマスクの着用」の3点をチェックされました。一旦会場を出て、昼食をとったあと再度入場したのですが、3点チェックを受けないと入場できませんでした。

 一方、会場の中では自由にいろいろなブースを回覧できる状況でしたが、ひとつだけ、従来、私が参加したイベントと異なる点がありました。それは、「各ブースに机・椅子がない」ということです。見た限り、すべてのブースで出展者と参加者が立ち話をしている状況でした(商談スペースは、出展ブースとは離れた場所に設置してありました)。

 HRエキスポのホームページで会場の様子が公開されています。
関西HRエキスポのホームページにある会場の様子

 写真では、結構にぎわっている感じですね(私が訪問したのは初日(11月17日)の朝イチから昼過ぎまでなので、比較的空いていました)。

 さまざまなデジタル化サービスを見学してきましたのですが、個人的に気になった出展を3点ご紹介します。

※個人的に気になった出展です。利用を推奨するという意図ではありません。

(個人的に注目した出展 その1)事務業務を自動化するRPA

 デジタル化の分野で注目されているのが「RPA」です。やはり注目の分野なのか、様々なサービスの紹介がありました。

 RPAとは、「ロボティック・プロセス・オートメーション」のことです。

ウィキペディアの解説ページはこちら

 名前に「ロボティック」とついているので、メカ(機械)のイメージが強いですが、実態はソフトウェアです。ウィキペディアのページを見ると、AI(人工知能)などの言葉も見えて、自律的な作業をおこなうように見えますが、実際の説明を聞いた印象では、単純作業(定形作業)で強みを発揮するサービスだと思いました。

 会場でお話を聞いたのはWinActorです。ホームページはこちら

 お話を聞いた理由は、業務を自動化するまでの過程や活用のイメージがわかりやすい展示だったからです(ご参考:WinActor の解説ページ

 ところで、一番気になる「価格(費用)」ですが、RPAのサービスを使った場合、みなさんはいくらぐらい費用がかかると思いますか?

 どういうわけか、サービスのホームページでは、なぜか価格が見当たりません。会場でいただいた資料にも価格がわかる資料はありませんでした。デジタル化を推進する立場からみて、この点は大きなハードルだと感じます。

 会場で聞いた話では、基本的なサービスでも最低「月額7万円」程度かかるようです(利用を検討するときは、各自お問い合わせください)。

 WinActorは価格がわかりにくかったのですが、別のサービス(Robo-Pat)では、チラシにズバリ!価格がかかれていました。「月額12万円」です。会場で確認したのは、「WinActor」と「Robo-Pat」だけですが、少なくともRPAを利用するには、最低でも月額10万円程度はかかるのかな・・・という印象でした。

 月額料金だけでなく、導入するための作業や導入までの期間にもコストがかかります。そう考えると、「基本的には大企業向きのサービスなのかな」という気がするのですが、実際には中小企業や社労士事務所などの導入実績があるそうです。

 導入を検討するときの一番のポイントは、企業規模ではなく「定形作業・単純作業が、どれだけの量あるか?」ということになりそうです。そういう観点から考えると、社労士事務所で、たとえば給与計算や社会保険手続きなど、多くの会社の事務を代行していて繰り返し作業・定形作業が多い事務所に向いているように思います。

(個人的に注目した出展 その2)一瞬で契約リスクを洗い出すデジタル化サービス

 次のご紹介するサービスは、AI契約審査プラットフォーム「LegalForce」です。

 (ホームページは、こちら

 デモを見せてもらいましたが、非常にカンタンな操作で契約書の問題点を次々にわかりやすく表示してくれます。

 私は社労士として、会社との間に契約書をかわす機会が多くあるので、この手のサービスは、とても興味があります。通常契約書を作成するときは、たとえば、リスクがないように専門家が作った契約書の「ひな形」を使って作成しているのですが、このサービスを利用するメリットを感じませんでした。

 ある程度、契約のパターンがきまった契約書を作るケースには向いてないのかもしれません(あくまでも、私個人の印象です)。

 では、なぜ、ここでご紹介したのかというと、社労士の業務の中の、たとえば「就業規則の作成」などに、すぐにでも応用できるかもしれないと思ったからです。

 社労士ならではの知見を生かした付加価値の高い就業規則の価値が高まる(逆にいうと、ひな形を適用しただけの就業規則は、この手のデジタル化サービスに置き換わる)のではないかと思います。

(個人的に注目した出展 その3)会議室のDX化

 最後にご紹介するのは、会議室DX化ソリューションと紹介されていた「デジタルホワイトボード」です。会社のホームページはこちら

 「会議の生産性が低い」というのは、昭和の時代からずっと言われてきたことですが、一向に改善しているような気がしません。しかし、コロナ禍を契機にイッキに進化している分野だと思います。

 正直な話、昭和世代の私には、電子黒板(デジタルホワイトボード)のイメージできませんでしたが、Zoomなどでオンライン会議をする機会が増えて便利さを実感できるようになっています。

 「会議室のDX化」ということですが、私達社労士にとっては、「自分の事務所の会議室をデジタル化する」というよりは、このような機器を活用した会議・プレゼン・講義(セミナー)に社労士として対応できるようにする必要性を強く感じた出展でした。

 現在、教育現場でも、ICT(情報通信技術)を活用した授業がドンドン導入されてきています。これから、そういう授業を経験した卒業生が、ドンドン社会にでてくるということです。社労士が提供するサービスを、これからも様々な現場にしっかりと届けるために、とても参考になりました。

最後に

 今回、HRエキスポを見学して、参加者が熱心に情報を収集する姿をいたるところで見かけました。参加者というのは、いうまでもなく「総務・人事・経理・法務・経営」に携わっている会社の担当者です。社労士として深い関係のある業務分野ですので、継続した情報収集の必要性を強く感じました。

 いま、準備中の「社労士のためのデジタル化推進フェア」では、「社労士のための」という点に留意しながら、さまざまな情報提供をオンライン(特設ホームページ)とオフライン(2022年2月19日会場開催)でおこないます。

 みなさまのご支援・ご参加をお待ちしています。

 大阪府社会保険労務士会 大阪北支部 水流 幸一